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TOP連載特集「The Evangelist」第七回 / 2020.04.28 掲載
ADMCによるPixabayからの画像

今回は、2020年3月末にサービス開始となった「5G」の内容をわかりやすく解説させて頂きます。

携帯電話やスマートフォン・タブレットと共に通信技術は進化し、より便利に、より効果的に、より速く通信できるように、「5G」の通信規格が大手携帯電話各社(大手キャリア)から提供されていきます。

それでは、「5G」って何?どんな事ができるの?といった基本的な内容を説明させて頂きます。

携帯通信網の歴史

1980年代に発表された初期型携帯電話(ショルダーフォン)からモバイル通信が開始されてから、十年単位で通信規格は進化し、通信速度の高速化(1Gから4Gへ)や新サービスの提供、ガラケーからスマートフォンへの変化と共に、日常生活やビジネスにおいて欠かせないコミュニケーションツールに発展してきました。
現在は、Society5.0やデジタル・トランスフォーメーション(DX)など時代の大きな変革期を迎えており、モバイル環境は5Gを基盤とした新たなコミュニケーションのあり方の創造と、新たなビジネス環境への進化を実現しようとしています。

出典:総務省「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」

 

“5G”の特徴

5Gは、「超高速」、「超低遅延(リアルタイム)」、「多数同時接続」という特徴を持っています。
この特徴を利用することで、今まで低速で携帯電話では見づらかった4K/8Kの動画やAR/VRを活用した臨場感の高い映像の送信、自動運転や遠隔治療などが実現できるようになり、新たなサービスへの拡充などが期待されています。

5Gの特徴を簡単に説明させて頂きます。

・超高速・大容量
5Gは、高速通信を行うために、今まで使用していた周波数帯から新しい周波数帯に変更となります。
これにより、携帯電話各社が提供している基地局の設備を変更すると共に、5Gを使用できる携帯電話・スマートフォンの対応も必要となってきます。
通信速度の超高速化は、2020年にサービス開始の5Gの場合は、下り最大通信速度10Gbpsとなり、将来的には下り最大20Gbpsに達するといわれており、様々な新たなコンテンツやサービスが利用可能となります。

・超低遅延
超高速・大容量通信を実現するための一つとして、超低遅延が技術的な特徴となります。
通信の遅延が発生すると送受信中の動画がカクカクしたり、ウェブサイトの表示が崩れたりするため、今までは送信元のアプリケーションなどで制御を行っていました。
5Gでは、LTEの10分1となる1ミリ秒の超低遅延性により、利用者がタイムラグを意識することのないリアルタイムな通信が可能となります。また、携帯電話各社側で低遅延対策を行うため、データの送信者の負担が軽減されることで、大容量のデータ送信やサービスを提供する際のコスト削減が期待されています。

・多数同時接続
現在は基地局1台に接続できる携帯電話やスマートフォンの台数が制限されているため、人が多く集まる駅やイベント会場などで繋がり難いなど、通信速度が遅くなるなどの弊害が発生していました。
5Gでは、同時に接続できる台数が、都市部では1平方キロあたり100万台と飛躍的に改善されるため、駅や電車等で動画やウェブサイトを快適に閲覧することやイベント会場で情報の配信等の新しいサービスの提供が期待されています。

出典:総務省「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」

“5G”が実現する世界

前述した5Gの特徴を活かし、新しく実現していく世界について紹介したいと思います。

1.高画質動画(4K/8K)がスマートフォンでも視聴可能に

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現在の4Gでは、容量の大きな動画のダウンロードには時間がかかり視聴が困難でした。
5Gでは、高速大容量通信が可能になることで外出時に屋外で容量の大きな4Kや8Kの動画をスムーズに視聴することが可能となります。
今まで自宅のパソコンやWi-Fi環境下で視聴していた動画や映画などを気軽に外で見られるようになります。

 

 

 

 

 

 

2.リアルタイムでのVR体験が可能に

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超高速・大容量通信の一つとして、リアルタイムのVR体験には遅延が少ないことが必要となります。360度自分の動きに合わせて視界が変化するVRでは、目の前の動画に遅延が発生すると気分が悪くなることがあるため、今までは容量の大きなVR動画をリアルタイムで観ることは困難でした。5Gが実現することで、超高速・低遅延の通信が、より快適に臨場感のあるリアルタイム動画の閲覧を可能にするでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

3.安全な自動運転が可能になる

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自動車業界で販売されている自動運転車も、5Gの実現により更なる進化を遂げるでしょう。
現在実現している緊急ブレーキやハンドル操作にとどまらず、将来的には超高速・低遅延を活用した「安全自動運転車」が実現されると言われています。

自動運転において通信遅延が発生することは、アクセルやブレーキなどの制御に支障をきたすため、重大な事故に繋がってしまいます。そこで、5Gにより膨大なデータを低遅延で高速通信することが期待されています。
このような背景もあり、膨大なデータを低遅延で高速転送するために5Gへの期待が高まっています。

 

 

 

 

 

 

 

4.遠隔操作で手術が可能となる

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5Gによって可能になるとされている遠隔操作による手術を行う技術です。
リアルタイムで人とロボットが連動して動くため、例えば本土にいる医者により離島の患者の手術が行えるようになるため、医療現場から期待されています。
遠隔操作により、どこにいても医療を受けられるようになれば、地域による医療格差が改善されるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

5.無人で効率的な農業ができる

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人手不足の問題が深刻な農業の分野においても、5Gの恩恵が期待されています。
無人トラクターやドローンなどを遠隔操作し、農場の様子を映像で把握したり、農作物の生育状態や気候などの必要な情報を統合したりして、効率的に農作業を行う「スマート農業」が5Gによって実現するでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

6.混雑した場所でも安定した通信ができる

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都心部や地下鉄・野外フェス会場など人が密集している場所でスマホやタブレットが繋がりにくくなった事はないでしょうか。
これは、4Gの「同時接続数が1平方キロメートルあたり10万デバイスまで」という規格が原因で、5Gになると1平方キロメートルあたり100万デバイスまで増えるため、人の密集した場所でも快適にインターネットを利用できます。

 

 

 

 

 

 

 

7.身の回りのあらゆるモノがインターネットに接続できる

PixalineによるPixabayからの画像

超高速・多数同時接続が可能になる事で、スマホやPCだけでなく、家電などもインターネットに接続し、あらゆるデバイスからの情報を取得できるようになります。
インターネット経由で、家電の操作やカフェの空席情報・目的地までのルート情報などを効率的にできる時代が、近い将来実現できるようになるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

8.スマートシティを実現できる

TumisuによるPixabayからの画像

5Gの活用により、Society5.0などで提唱されるスマートシティの実現に大きく貢献することになります。
スマートシティが実現されれば、たとえば街中の交通情報が一括で管理されて渋滞の解消に繋がったり、エネルギーが効率よく配分されて環境に優しい街になったりするなど、さまざまなメリットが考えられます。

 

 

 

 

 

 

 “5G”サービスの提供時期

日本国内における5Gサービスの開始時期は以下のようになります。

・NTTドコモ 2020年3月25日

・KDDI 2020年3月26日

・ソフトバンク 2020年3月27日

ただし、サービス開始時期=全国同時スタートではなく、基地局の増加に伴い少しずつ利用可能な範囲が増えていくと考えられるでしょう。

・5Gのサービス開始時期と規模について(令和元年6月発表時点)

出典:総務省「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」

 

さいごに

DXやSociety5.0の実現にも重要な役割を果たす5Gへの期待は非常に大きく、生活やビジネスの在り方に変化をもたらします。
携帯通信網・デバイスの進化と共に5Gに対応したサービスの提供により、数年後は我々の生活スタイルも大きく進化していくでしょう。
人と情報通信技術(ICT)の融合による未来、その中で大きな役割を果たす5Gへ期待していきましょう。

今後とも岡三情報システムのThe Evangelistを宜しくお願いします。

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